幕が降りた後に

トレッキーなジャズピアニストによる、ありとあらゆる「舞台」の覚書。守備範囲は講談、ミュージカル、ライブ、映画、洋ドラ、雑多です。

女優だけのシェイクスピア リア王@座・高円寺

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実は昔演劇を少々嗜んでおりました。
中高一貫校で5年間演劇部員をやっておりました。

どっちかというと役者より音楽制作を任される方が多かったんですが。

最後の最後に主役を演じたのがこの「リア王」でした。

(※女子校です)

少々嗜んで…という控え目な表現をしておいて何ですが、
特にコンクール出場なんかもしなかった割に
今思えば結構なガチ勢の集まる部活でした。
少なくとも一大イベントの文化祭前は全員ガチにならないと生き残れない…
といっても過言ではないレベルで毎日練習が続きました。

そんな中で最後の最後に演じた作品で思い入れもあるのに加え。

当時我々の演劇部で指導をしてくださっていた女優さん、
杉村理加さんがグロスター役で出演なさる、ということで
これは行かねばなるまいよ!!
というわけで速攻チケットを予約し本日行って参りました。

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主演は旺なつきさん。元々宝塚のご出身の方です。

女優さんが演じるリア王ってどんなんなんだろう…?
となかなか想像が出来なかったんですが、
素晴らしいリア王でした…。

決して「リア女王」でなく「リア王」でした。
女性で、あの男性の老王をあそこまで見事に演じられるなんて…

…10数年前に観て技術を欠片だけでも参考にさせていただきたかった…(ノД`)
たかが部活、されど舞台。
女性の身でどうやってあれを演じるのか…
物凄く苦労した記憶があります。

見事に演じていらした旺さん。
印象的だったのは、何かと怒り狂うシーンの多いリア王
声を荒げずにその怒りや狂気を演じていらしたのが印象的でした。 

あああこうやって表すんだ…
と、もう10年以上経ってるのに
どうしても演じた側目線の感想になってしまうのですが…

あと印象に残ったのはエドガー。
エドガーは途中で乞食に扮する役所なんですが、
ここまでトチ狂った乞食だと思わなかったですww
いやはや凄かった圧倒的存在感でした。

そして声優のくじらさんがオズワルド役で出ていらっしゃいました。
有名どころだと「銀魂」のお登勢さん役の方ですね。
悲劇の中で笑いが起きたのはオズワルドのシーン。
ほんのちょっとした台詞や仕草が
このシリアスな物語の中に一瞬の笑いを差し込んでおりました。
そして素人目線ながら、声の存在感が違う印象でした。

そして贔屓目に抜きにしても杉村理加さんのグロスター。
元々この話の中でグロスターというキャラクターはとても好きだったのですが。
善良であるからこそ騙されてしまう…
良き父でありながら息子に陥れられてしまう。
そんなグロスターをとても魅力的に演じていらして
どのシーンでも目の惹かれるキャラクターでした。

あとある種悪役的なエドマンド。
なんと可愛らしい雰囲気のエドマンド( ゚д゚)
なんかこう、少年が悪戯をする如くに父と兄を陥れていく…
ある種サイコっぽくて逆に怖かったですw
こんなエドマンドありなんや…(※良い意味で。とても良い意味で)

あと今回シェイクスピアの脚本をそのまま用いての舞台だったので
改めてシェイクスピアの書く台詞の美しさというか…
脚本そのものの魅力、物語そのものの面白さと普遍性、
というのを改めて感じました。
特にリアがコーディリアと再会するシーン。
お前はコーディリアか…?
と気付く前の長台詞がね…
じーさん、気付いてんのか?
コーディリアだってわかってんのか??
じーさん!正気か?正気に戻れ!じーさん!

気付いてたぁぁ(ノД`)ブワッ

ってなるんですよ…(伝われ)
凄く好きなシーンになりました。

演劇の古典作品って
演じ方演出の仕方が役者さん劇団さんによって
全然違ってくるのが本当に面白いですよね。
講談聴いてもそれは思ったけれども、
シェイクスピア作品なんて何百年単位で世界規模だもの。
最近演劇鑑賞からは遠のいていたけれど、
また色々観てみたいなぁ。


昔の思い出も相まって。
素晴らしい舞台が観られて幸せな心持ちです。