幕が降りた後に

トレッキーなジャズピアニストによる、ありとあらゆる「舞台」の覚書。守備範囲は講談、ミュージカル、ライブ、映画、洋ドラ、雑多です。

末廣亭11月下席3日目

友人が「昭和元禄落語心中」にハマったらしい。

 

実はこの漫画に私がハマったのが一年前。

あれを読むと、そしてアニメを見ると、とにかく寄席に行ってみたくなる。

 

そんなわけで去年初めて足を運んだ寄席が、末廣亭

ちょうどこの時期で、11月の下席でした。

この11月の下席では講談師の神田松鯉師匠が毎年赤穂義士伝をかけていらっしゃいます。

そんな前情報全然知らずに行って、以降講談の魅力にずぶずぶハマってしまった・・・

のが去年~今年にかけてのお話。

 

今年も絶対行くぞ!!と思っていたところで

友人が「昭和元禄落語心中」にハマった、となれば。

連れていくしかないでしょう。

沼に誘い込むしかないでしょう。

 

と、いうことで。行って参りました。

 

最近はお中入り後に出演される神田松之丞氏が大人気故、

(そもそも私も松之丞氏に思いっきりハマったクチですがその話はまた後日)

祝日だし開演前には行った方が良さそうかな~?

というノリで16:40頃に行ったら。

 

既に大混雑。

 

ギリギリ1階席には入れたものの、案内されたのは端の畳席、

既に2階席(めったに開放されないらしい)も開放・・・

松之丞人気やばい・・・

 

さてさて。お目当てだった神田一門の感想を少々。

 

・神田鯉栄 寛永宮本武蔵伝「狼退治」

個人的に今日一番面白かった!

去年も今年の7月も末廣亭で聞いて、

貫禄と愛嬌のある格好良い女性芸人さんだなぁとは思っておりましたが。

今日は客席を煽る煽るww

「松之丞の時はもっと拍手するんでしょ!」と今日の満席をネタにしつつw

何故高座にマイク(ソニー製)が置いてあるか?今日まで知りませんでしたw

狼たちの会話のシーン、あれは鯉栄さんのアレンジなのかな??

いやとにかく笑ったw来年は絶対鯉栄さんの独演会行こう。

 

・神田松之丞 「扇の的」

今日は畳席の前の方だったので舞台袖がとても良く見えまして。

出る直前に「プレッシャーだなあ・・・」と苦笑いの松之丞さんが見えましたw

私の友人もでしたが、「今日は初めて寄席に来たという人も多いようで・・・」と入り、

「これは挑戦です」と、敢えて言い立ての多い「扇の的」を。

 

私個人は今年の6月に国立演芸場で松之丞さんの「扇の的」を聴いたのですが。

この時と一番違ったの、なんだったろう・・・

と後から色々考えたのですが。

 

結論:客席。

 

あの日は梅雨も梅雨の真っただ中の平日の昼。

松之丞さんもマクラで「雨の中お運びありがとうございました・・・むしろ、何故来たのw」

とおっしゃる勢いw

日時と、雨と、あと場所もあるのかなあ?お上品な高齢層が多く、

基本ずっと客席が静か目な印象でした。

 

もちろん客席のテンション関係なく松之丞さんの「扇の的」、良かったんですが。

今日は客席もノッていて、私も遠慮なく笑いまくれました。

笑いを取る場面ももちろん好きなのだけれど、

那須与一が祈る場面の松之丞さんの気迫、今日とても引き込まれたなあ。

 

客席の空気って、演者さんにももちろん影響するんだろうけど、

御客同士でも結構影響するんじゃないかなぁ、と感じました。

 

ちなみにその後の桂幸丸師匠、

思いっきり松之丞さんを腐してネタにしていらっしゃいました・・・w

狙ってなのかわからないけれど、テンションの落差がw

幸丸師匠、とても面白かったです。

 

神田松鯉 「大石東下り

正直赤穂義士伝とか全く興味がなかったのですが、

去年の松鯉師匠の「荒川十太夫」、今年の神田松之丞講談漫遊記での堀部安兵衛三作で

どんどん赤穂義士伝の魅力に吸い込まれていっております。

 

忠臣蔵って要はみんなで敵討ちして最後みんなで切腹して美談になった話っしょ?

要は忠誠心スバラシイ!な話っしょ?」

 

くらいの認識でいたんですけれどね。

そんな超身も蓋もない認識でいたんですけどね。

 

まだ赤穂義士伝極々一部しか聴いてないけれど、

そうじゃなくて、一人一人の人生のドラマだとか

仇討ちに至るまでの間に色んな逸話があったりだとか

「敵討ち」そのもの以外に面白い話がいっぱいあるんだな・・・?

と徐々に気づかされているここ最近です。

 

今日の「大石東下り」はまさにそう思わされた話だった。

 

敵討ちのために江戸に行く大石内蔵助、敵討ちに行くのバレたらまずいから偽名を使う

→泊まった宿で偽名の張本人に会ってしまう

→さあどうする!

 

というお話だったのですが。

その緊迫感だとか、大石内蔵助が正体を明かした時の二人の無言のやりとりだとか・・・

ストーリー自体が物凄くドラマチックで、

そして松鯉師匠はその物語を本当に魅力的に伝えるなぁと感じました。

 

何か特別派手なことをやるわけでもない。笑いを取るわけでもない。

けれど講談の物語そのものの魅力を最大限に伝えられる人なんじゃないかと。

 

友人も松鯉師匠にとても引き込まれていたようです。

良かった趣味に付き合わせた甲斐があった。

 

 

以上お目当ての神田一門の感想でした。

 

他に印象に残ったのは

・桂伸べえ「寿限無

寄席超初心者なので生で寿限無を初めて聞けて良かった。

マクラが初々しさ満載の印象だったのに、ネタ自体はとても面白くて。ギャップが。

三遊亭円雀

新作落語で名前がわからないのだけど、所謂新作落語でここまで笑ったことはなかった・・・

桂幸丸

松之丞氏の後のテンションの落差wwwそしてひたすら昭和歌謡のモノマネwww

流れ的なのも含めて爆笑でした。

 

 

千秋楽もとてもとても行きたい!!

けれど席が残ってるうちに仕事が終わるのか?

平日とはいえ金曜夜だし心配・・・

いや立ち見でもいい。千秋楽は色々行きたい理由があるのです。

その話は行けたらまた今度。